私たちは、生まれながらに、素晴らしい機能を持って生まれてきました。 

目に見えるものに興味を持ち、

好奇心を持って、学び、遊び、 

私たち自身が、自然そのものでした。

つまり、言い換えると、 私たち自身を、自然の法則に従った方法で、使えていたのです。 


優れた演奏家、歌手、指揮者は、自己(体、心、魂)を正しく使うことができる。』


あるときから私たちは、

もっと良くなるため、

もっと上手になるため、

『何かをする。』ことで、成果を求め始めました。


しかし、成果を求めることが、 

間違った自己の使い方につながり、 

さらには練習の積み重ねにより、 

たくさんの癖(習慣)を身につけ、 

本来の私たちの機能を自ら歪めてしまっているのです。 


(自己とは、体・心・魂、これらを統一した総体的な私たち自身を指しています。) 


癖(習慣)は直接的に取り除こうとしても、取り除けるものではありません。

癖を取り除くことは至難です。 

ただし、自己の使い方を変えれば、機能にも影響を与えることができます。 

つまり、自己の正しい使い方を学ぶことにより、間接的に、癖(習慣)を変化させることができるのです。 

私たち自身が正しく機能することで、結果は自然に起こるものです。 

つまり、結果を出そうとする先に、結果は得られないのです。 


『大切なことは、ベーシックに戻ること。自分へ還る。本来のあり方へ還ること。それが結果として、気づけば自分をずっと先の自分へと導いてくれることになる。』


本来の自分へ還るために、まず私たちが気づかなくてはならないことは、

 “ NON DOING” 『何もしないこと。』

 何もしないこと、をすることです!! 

“NON DOING”をすることは、何にも侵されていない、自然なままの領域を自分の中に取り戻し、本来のものを回復させることになります。 


『何かをすること。 “DOING”は、傷口の上に、絆創膏を何重にも重ねる治療法のようなもの。 一時的に、傷口を隠すことはできても、傷を癒すことはできない。』



私たち音楽家が妥協してはならないことのひとつは、

より良いサウンドをプロデュースする、ということです。


体が本来あるべき機能を果たすことで、

どの筋肉にも余分な緊張が走ることなく、

体の軸が整い、安定したサポートが得られます。

そして、体の自然な重みのみを使って演奏をすることができるようになることで、

サウンドはより柔らかく、深く、色味を帯びたものへと変化していくのです。


『君より速いテンポで演奏できる人は確実にいる。君より速く指が動く人も確実にいる。

でも、君のサウンドは君だけのものだよ。

誰からも盗めない。

誰からも盗まれることはない。』



昨日よりも今日、今日よりも明日、

明日よりも明後日。 

より良くなろう。 

昨日上手くいったことを忘れず、今日はもっと良くできるようにしよう。 

こう、私たちは教わってきました。 


大きな間違いです。 


そのことは、昨日にとらわれて、今日や明日に結果を求め、機能を果たす自己の使い方から外れた、結果主義(エンド・ゲイニング)な思考を生みます。 



『今日一番最初に出す音を、自分が人生で初めて演奏する音のような気持ちで演奏してみよう。』



みなさまの、豊かで幸せな音楽人生のお手伝いができれば幸いです。 



『個性を出すために、人と違ったことをしよう、とすることはやめたほうがいい。君が機能している状態が、もうすでに人とは違っているんだから。』